オードリーの香りとも言える「ランテルディ」の魅力を語る前に、まずはオードリーとジバンシイの関係について明らかにしていきたいと思います。

映画「麗しのサブリナ」で着用予定だった洋服を調達しに、パリのジバンシイのサロンをたまたま訪れたのがジバンシイとオードリーとの最初の出会いだった。
ジバンシイは、「女優のヘップバーン様がご来店になる!」と聞き、すでに当時人気女優だったキャサリン・ヘップバーンが来店するものとばかり思っていたそうです。
ところが来店したのはまだ無名のやせっぽっちの小柄な女優でした。
ジバンシイは当然ガッカリ。。
しかし、その後のオードリーとの知的で洗練された会話により次第にオードリーに魅了されていきます。長年に及ぶ素晴らしい友人関係はここからがスタートでした。
ジバンシイの手がける服は、女性の欠点を補い、より長所を引き立たせることにすぐれた作りになっていました。
やせっぽっちでボリュームのない体のオードリーを決して貧弱な身体に見せないよう、さまざまな工夫を凝らして彼女の美点を引き出した服を次々に提案し、彼女の信頼を得ていく。
ジバンシイとオードリーがタッグを組んだ映画作品はたくさんあります。
「パリの恋人」(1957)
「ティファニーで朝食を」(1961)
「シャレード」(1963)
「パリで一緒に」(1963)
「おしゃれ泥棒」(1966)
映画の世界を飛び出し、私生活においても、オードリーは、常にどこに行くにもジバンシイの服を着て、ジバンシイへ常に敬意を払いました。
さて、ここでようやく話をランテルディに戻します。
ランテルディは、ジバンシイが親友でありブランドのミューズでもあるオードリーのために特別に捧げたとされる名香です。
photo by:FRAGRANTICA
ジバンシイは、オードリーから、自分だけの特別なアイコニックな香水が欲しいと相談された際、調香師フランシス・ファブロン(Francis Fabron)に調香を依頼しました。
調香後、その完成した香りを確認したオードリーは即座に
「これを私以外の人が使ったらダメ!」
と一言放ったそうです。
その後、3~4年の間はオードリーにしかその使用を許されない、まさにオードリー限定の「禁断の」香りとなったのでした。
その後ジバンシイは、ついにオードリーの当初の意向に反し、1957年、一般の消費者向けにランテルディの販売を開始する舵を切ります。
この香りのアイコンは変わらずオードリーではあるものの、50年代から60年代初頭の一般の女性に向けて、もっと自由に、この素晴らしい香りを共有してもらいたいというジバンシイの願いがあり、それを友人オードリーに伝え、理解を得たのでした。
ランテルディの名前の由来
l’interdit(ランテルディ)は、フランス語で「禁止」の意味。
なお、ランテルディ生みの親・調香師フランシス・ファブロンは当時「ジバンシイの鼻(Givenchy’s nose)」と言われるほどの立場あるパフューマーでした。
ジバンシイがオードリーに送ったのと同じランテルディのオリジナルバージョンは残念ながら廃盤となっており、私もいろいろ探しましたがamazonや楽天といったサイトにもないようで、まれにメルカリに出品されていることがあるようです。ラッキーだったら購入できるかも。。
現在なかなかお目にかかることができないランテルディのオリジナルバージョンですが、私も如何せん、実物を目にしたことがないため残念ながら実際の香りは香ったことがありません。
そんな時、世界中の廃盤製品も含め膨大な製品情報が蓄積されているフレグランスの総合情報サイト「FRAGRANTICA」が大活躍してくれます。
では、このサイトからの製品情報を少々お伝えしますね。
正式名称:
L’interdit Givenchy for women EDT(ランテルディ ジバンシイ フォー ウーマン オーデトワレ)
メインの香調:パウダリー&フローラル&ウッディ
トップ:アルデヒド、スパイス、マンダリンオレンジ、ピーチ、ベルガモット、ストロベリー
ミドル:アイリス、バイオレット、スイセン、オリスルート(ニオイアヤメの根)、ジャスミン、イランイラン、スズラン、バラ
ラスト:サンダルウッド、アンバー、ムスク、ベンゾイン、ベチバー、トンカビーン
使用者からの口コミを一部ご紹介します。
アルページュって、グレース・ケリーが愛用していたことでも知られていますね。
シャネルの5番は言わずもがな、マリリン・モンローがベッドでパジャマの代わりにまとう香水として有名ですし。
世界のアイコンと呼ばれる方々のつける香水は一般の、我々消費者の心に響きますからね!
以上がLIKEの評価ですが、念のためBAD評価も載せておきます。
時代を経てきたフレグランスゆえ、好みの差がしっかり現れるとも言えますね。。
うーん、何ともズバリ、辛辣なご意見でしたが、なんとなく香りの想像がついてきました!!
ランテルディのオリジナルの香りは、シャネルの5番に似たフローラルアルデヒド系の、温かみのあるセンシュアルで甘い香り。
オリジナルの香りはジバンシイカウンターでの取り扱いはないですが、その香りをオマージュして新たにリニューアルした香りが「ランテルディ オーデパルファム」として現在発売中です(なお、過去にも何度か復刻されていますのでご注意を!)。
世界一斉発売されたのが2018年9月15日。
サイズは2サイズあります。
ランテルディ オーデパルファム
35ml 9,000円
50ml 11,000円(いずれも税抜)
オードリーに捧げた名香を2018年版として新たに刷新。
エレガントなホワイ
相反するノートのハーモニーが
個性を引き出しながらもエレガントな女性らしい香りを求めている方、世代を問わずに使える新旧フレグランスの要素がちょうどよく配合された香りです。
調香師(パヒューマー)もご紹介しておきます。
ドミニク・ロピオン、アン・フリッポ、ファニー・バルの3名のマスター・パフューマーが手掛けました。インハウス・パフューマーではないですが、3名ともさまざまなブランドにおいて実績のあるパヒューマーです。
たとえば・・・
ドミニク・ロピオンの手がけた作品として:
デューン(クリスチャン・ディオール)
ミラク・フォーエバー(ランコム)
アン・フリッポの手がけた作品として:
アクア ディ ジョイア(ジョルジオ・アルマーニ)
ちなみにこの作品は上記ドミニク氏との共同製作です。
多くの調香師達の聖地、南フランス・グラースの出身ではなく北部出身の女性調香師ですが、現在最も勢いのある女性調香師のうちの一人とされています。
ファニー・バルの手がけた作品として:
SALE GOSSE(フレデリック・マル)
将来を嘱望される若手調香師で、上記作品を手掛けたことで話題になりました。ちなみにSALE GOSSEとは日本語に直訳すると「汚いガキ」の意(笑)。なお、この商品は子供用フレグランスとのことです。この方も女性調香師で、いかにもなフランスのお若いマダム・・・。
インスタをされているようですので、興味のある方はこちらを。
なお、下記インスタは彼女のリンクです。
お話がすっかり調香師に飛んでしまいましたね。
話をもとに戻します。
香調について
輝くようにエレガントなホワイトフラワーとダークで荒削りなアン
「禁じられた」相反するノートの調和が奏でるハーモニーが味わえます。
通常のフレグランスと異なり、トップ・ミドル・ラストノートの区別がなく、つけたてから最後まで均一に同じ香りです。変わった作りですよね!
具体的な香料は以下を使用しています。
◆輝くようにエレガントでフェミニンなホワイトフラワーノート
・オレンジフラワー
・ジャスミン
・チュベローズ
◆ダークで荒削りなアンダーグラウンドノート
・ベチバー
・パチョリ
私、実は今季、このフレグランスのクチュールエディションという限定バージョンを購入いたしました。ボトルデザインのみが異なるタイプとなり、香りは通常のバージョンと一緒です。
ランテルディ クチュール エディション 50ml
11,000円(税抜)
2020年3月1日発売

はい、こちらが私の購入品です。
いかがでしょう、通常販売版とくらべると見た目がかなりゴージャスですよね!
ジバンシイのクチュールでもよくつかわれるメタルチャームやレー
ジバンシイ国内カウンターにて購入の正規品です。
ところで、パッケージ内側にご注目。

この目を引く赤い色は、ルージュアンテルディ13番の赤い色!
その名も「ルージュ・アンテルディ」。
ルージュアンテルディの中のルージュアンテルディってことですね(笑)。
オードリーをイメージしたレッドと思われます。
オードリー大好きな方にとってはマストハブなアイテムですね!
そしてサインはジバンシイ直筆サインとのことです。
箱にもストーリーがあるんですね。

ところでみなさん、デパコスはどこで購入なさいますか?
ちなみに私はそのときどきによって変わります(笑)。
予算に合わせて、デパートに通うときもあれば、amazon先生や楽天先生のお力を借りることも。。
そんな話は置いといて、
実際に自ら香ってみた印象をお伝えします。
・ジャスミンの香りが甘く続く
・一方でベチバーやパチョリの男性的な香りも混ざっている
・全体的な印象としては、甘いけど甘ったるすぎない大人っぽさのある香り
こんなふうに感じました。
オードリー・

最後に、香水(オーデコロン・オーデトワレ・オーデパルファム)のつけ方ですが、スプレーをシュッと手首の内側、うなじ、腕の内側などに一吹きしてください。
香水は、人間の体温によって気化して香りが立つ仕組み。
なるべく体温の高い部位にスプレーするのがおすすめ。
さてさて、ランテルディの魅力について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
ジバンシイとオードリーの出会いからランテルディ誕生秘話、そして最新版ランテルディオーデパルファムまでご紹介いたしました。
ジバンシイは個人的にも好きなブランドなので、また購入品がありましたらレビューしつつ解説させていただきますね。
それでは、また!